空家特措法とは?
空家の危険度によって行政が法的効力を持って所有者へ対策を指示できるよう定められた法律。
→ 管理状況のよくない空家に対して、修理や解体等の改善を求める指導を行います。
従わないとどうなる?
「特定空家」として指定されます。
特定空家とは?
国土交通省の定めるところによれば、特定空家として指定される条件は以下の通り。
- 倒壊の危険性がある:屋根や外壁等、構造部がひどく劣化している。
- 衛生上有害である:ゴミの放置や獣害による悪臭など。
- 周囲の景観を損なう:過度な草木の繁茂など。
- その他:周辺の生活環境の保全を図る為に放置することが不適切である。
指定されるとどうなる?
- 特定空家として指定:助言や指導を行います。
↓ - 勧告:住宅用地特例の対象から除外されます。=年間の固定資産税が6倍になります。
↓ - 命令:従わない場合、50万円以下の罰金が課せられます。
↓ - 行政代執行:強制撤去
費用は?
最終的に行政が強制撤去してくれるのなら、放置しておけば結果オーライなのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、解体やそれにともなう手続きにかかる費用は全て所有者に対して請求されます。
また過料や事務手数料などもかかってきますので通常の解体処理よりも高額になる可能性があります。
実情は…
空き家になってしまった理由のひとつとして、改修や解体の費用の工面が難しいという場合がよくあります。そのような事情のある所有者に対し、強制撤去後に費用を請求するのはあまりにも酷な話。
つまり、特定空き家に指定される前になんとかしたいというのが対策担当としての本音なのです。
我々の場合、連絡のつく所有者に対してはひとまず状況確認と注意喚起の段階で留めておき、経過を見守ることとしています。とはいえ、全国的に特定空き家の除却が増加傾向にあるのもまた事実。まずは所有者としての管理責任を自覚して頂くことが改善の第一歩ではないでしょうか。
まとめ
施行の背景
使われなくなった家屋が空き家化してしまう背景にはそれぞれの事情があります。
遺産分割協議がまとまらず相続が完了していなかったり、そもそも当人に所有者としての管理責任があることを知らなかったりというケースなども…しかし、空き家がそのまま存在し続けると、防災や衛生、景観などの面で、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしてしまうので、なんとかしようということで、この特措法が施行されたのだと思います。
「特定空家」にならないために
所有者がその空き家に対して全く何もしないと、近隣住民の苦情も増え、自治体も特定空家として指定せざるを得なくなり、結果的に特措法の効力が発揮されてしまうかもしれません。
そうなる前に所有者の方、または将来相続する可能性のある方が、 当該の家屋をどうするのかを事前に話し合い諸手続を済ませておくのがよいでしょう。