法改正2023①:所有者不明土地管理制度

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旧民法の財産管理制度では、財産を全般的に管理する「人」単位の仕組みとなっていたため、個々の不動産の管理までは行き届かせるのが難しかったんですよね。

そこで登場したのが今回の法改正。裁判所によって選ばれた人が管理されていない土地や建物の管理ができるようになったんです。これにより、管理の期間も短縮化と予納金の負担軽減が実現されました。

新たな所有者不明土地・建物管理制度では、所有者不明の土地・建物の管理が必要と認定された場合、裁判所が管理人を任命します。この制度は、該当する土地や建物の管理に利害関係を持つ者が管理人の選任を申請できます。

管理人の選任請求ができる利害関係人

適切な管理をしようとすることが前提となりますが、

  • 隣接地の所有者
  • 時効取得を主張する者
  • 公共事業の実施者
  • 買受希望者

が該当します。

管理人が選任されると、所有者不明土地等、動産、売却代金等を管理します。その内容は、保存行為や利用・改良など裁判所の許可なしに可能なものと、売却や債務弁済など裁判所の許可が必要なものに分かれます。

管理不全土地・建物管理制度

適切に管理されていない土地や建物の管理人を裁判所が選任します。

この場合の適切な管理がされていない状態とは、

  • 隣地の擁壁が劣化により倒壊し、土砂崩れのおそれがある
  • ゴミの不法投棄を放置したことにより臭気や害虫が発生している

などが挙げられます。

このような土地の隣地の所有者や被害を被っている人が利害関係人となり、管理人の選任請求ができます。管理人は土地、動産、売却代金等を管理し、保存や利用・改良等の行為ができますが、処分行為を行うためには、所有者の同意が必要です。もちろん所有者自身が行う場合は従来通り管理や処分が可能ですよ。

まとめ

この制度がうまく機能すれば、所有者がわからなかったり、適切な管理がされていない土地や建物の管理がスムーズになり、関係者全にとって公正な解決策になり得ると思います。ただし、一部の行為には裁判所の許可が必要で、慎重な判断と適切な手続きが求められます。まだまだ一般的にはハードルが高い制度ではありますが、今後の空き家問題における打開策のひとつになることが期待できますね。

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