前回の記事では「売却か賃貸か」というテーマで記事を書きましたが、
今回は空き家の賃貸における定期借家契約の導入についてまとめてみました。
普通借家契約との違い
一般的な普通借家契約
- 契約期間は1年以上(通常は2年)
1年未満の契約期間を設けた場合は、
「期間の定めのない契約」とみなされる。 - 期間が満了すると更新が行われる。
貸し手側は正当な事由がなければ、
借主の更新を拒絶することができない。 - 借り手側は契約や特約等に基づいて中途解約可能。
場合によっては貸し手が立退料を支払うことも。
基本的には契約期間を過ぎても借り主が住み続けることを希望すると更新となり、
貸し手側の個人的理由では、賃貸契約を解除することは難しいということですから
どちらかというと借り手にとって有利な契約形態といえるでしょう。
では、普通借家に対し、定期借家はなにがちがうのか、下記をご覧ください。
- 契約期間は貸し手が自由に定めることができる。
- 契約の「更新」がない。(期間の満了=契約終了)
契約期間満了後も住み続けたい希望があれば、
貸し主と借り主の双方合意のもと、「再契約」が可能
貸主の不利を是正するために施行された制度なので、普通借家契約と比べると貸し手側に決定権のある借家契約です。
これなら契約の終了とともに所有者のもとに返ってくるという安心感がありますよね。
また、普通借家契約では口頭による契約も可能であるのに対し、
定期借家契約は公正証書などの正式な書面による契約以外は認めらません。
事業者向けの賃貸としても効果的?
「がもよんモデル」の秘密
空き家活用の先進地として注目を集める大阪市城東区蒲生(がもう)四丁目:通称がもよん では、サブリースと定期借家を組み合わせた飲食店誘致による古民家再生が地域振興の中心的役割を担っているようです。
”文献より一部抜粋”
- 所有者負担でライフラインの整備
- かかった費用から借家契約期間と賃料を設定
- 借りたい事業者とマッチング
※契約条件に一定期間未満の解約に対して違約金を設定することで、
1.の費用回収に対するリスク回避となる。
さらにサブリースの形をとることで、入居する事業者が決まるまでの期間も貸主には継続して家賃が納められるという仕組み。
まとめ
定期借家契約が貸主(物件所有者)にとって決定権をもたらす契約だということがわかりました。うまく活用すれば、「今すぐに売却は決断できないけれど、何年後には..」とお考えの空き家所有者さんにとっても有用な策となるかもしれません。
例えば、中規模な改修が必要な空き家を現状渡しでDIY型賃貸にしたとします。
定期借家契約にすれば満了期間も貸し手の裁量ですし、戻ってくる頃には空き家だった頃よりもアップグレードされているはずです。(注:ただこれではあまりにも貸し手都合だと言われかねないので、賃料をかなり安く設定するなどの工夫が必要になるでしょう。)
空き家の賃貸をお考えの方は、一度ご検討されてみては如何でしょうか?