物件との出会い
この物件との出会いは、2月の終わり。ほんとうは前年の春とかには見つかっている状態が理想でしたが、物件探しは思ったよりも難航し気付けば年度末まであと僅か。
空き家担当として協力隊をやっている人間でさえこんなですから、空き家の件数があることをわかっていても、実際に使える空き家を見つけることが如何に大変か思い知らされました。
そもそも所有者さんの意図が顕在化できにくい問題ですから、データを見ても需要過多である現状については残念ながら当然の帰結と言わざるを得ないかと。
しかしここで諦めるわけにはいかない。そこをなんとか変えていこうというのがワタクシのお仕事。とりあえずそんなときは地道に足で稼ぐべし!
てことで、2年ほど中野市に住んでいて”なんとなく”お気に入りのエリア「通称:東町」で聞き込みを開始。ご挨拶はしっかり、怪しい者ではありませんアピール全開で。笑
とはいえさすがに知らないお宅にピンポンするなんてことはできませんから、そのエリアのお店の人に聞いてみることに。お仕事お邪魔しちゃって申し訳ないと思いながら、『この辺りで事業所となる拠点を借りたくて、探して歩いてみてるんですけども…』bbbと尋ねてみてご迷惑そうでなければ、どんな用途で(居住or事業所、事業の内容などなど)…の説明も加えながら。
そんなこんなで、とあるお店の方からご紹介頂いたというご縁なわけですが、この時点でもう”なんとなくお気に入り”から”すげーお気に入り”になっていました。それだけお店の人とお話をするということは不思議な力が働くものです。
賃貸交渉
さて、ありがたいことに空き家の所有者さんも内覧のお願いに快く応じてくださり、いよいよ条件設定のフェーズへ。ちなみに内覧のときが初顔合わせだったので自己紹介資料と活用コンセプトを作って持って行きました。では、ここで村井流空き家チェックポイントのご紹介。
外観
- 外壁の状態(ひび割れや穴・腐食などの有無)
- 屋根の状態と素材、雨仕舞
室内
- 建物内の湿気感
- 建具のスムーズさ
- 天井の染みの有無
- 水回り
ライフラインや当時の利用状況、空き家期間などなど気になることは正直に質問しましょう!
結果、個人的には専門業者さんへの発注:DIY可能な部分 の割合3:7ぐらいかなと判断し無事決定。
ある程度、改修工事はする前提でいたのでオーナーさんにもDIY型の賃貸借という形でご了承頂きました。このときに使用した契約書はこちらのページにて公開しています↓
どんな場所にするのか
この記事を書いているときもキャッチコピー的な文言を考え中のところなんですが、たぶんひとことで言い表すのが難しい場所なんじゃないかと思います。強いていうのなら『まち・もの・ひと想造基地』というコンセプトで組み立ててはいるので、なにかを”つくる”=”ものづくり⇔ひとの場づくり⇔まちづくり”みたいなイメージです。
ゆるく繋がる
こっちに来てから学生さんと話していて気付いた「このまちにはエンタメがない…」という課題感。もしかしたら知らないだけかもしれないけど、交流する機会が少ないまたは表面化していないのはおそらく本当。エンカウンターなくして新しい道は開けませんので、「ここに行けば誰かいる・なんかやってる」場所にしたいと思います。
目指せエリアリノベーション
あとは単純に空き家活用事例の提示としてランドマーク的な存在になる拠点を作りたかったのも根本にはありまして。基本ぼくの活動全般において意識してることですけど、所有者さんに対しては、「安くお貸し頂いたおかげで、こんな素敵な空間にできましたよ。人も集まって活気が生まれて良い感じですよ=決断のタイミングが成否の鍵となる可能性の示唆」そして、利活用希望者さんに対しては「空き家を活用するとなればこんな問題が想定されます=条件次第ではありますが、いろんな工夫の仕方でコスト削減を狙えますよ:ノウハウ共有」的なポイントを視える化して所有者×希望者のマッチングスキームの事例を増やす狙いもあったりするわけです。
古い≒ストーリー
内装は、リノベ費用を節約する目的も兼ねて、古物やアップサイクルなどをうまく取り入れて、元々の古い建物の雰囲気を残したまま使えるようにしたいと考えてます。たぶんちょっとクセの強い秘密基地的な雰囲気の空間になるんじゃないかと思いますが、それもまた個性ということでね。表現の自由度という観点が空き家活用の面白さのひとつ。DIYカルチャーの醸成を目指すといった一面でも随所にインスピレーションを感じ取ることができるように工夫しなければと今から頭を悩ませておりますけども。
今後の展望
やりたいことは超たくさんあります。レコードマーケットとか古着イベントとか、ミニライブやシェアキッチンなんてのもアリですね。でも企画を打つなら、まずはお披露目もかねて東町周辺のエリアの方々をお招きしての、空き家・空き店舗活用のアイデア出し会議が最初。これから長期的にこの場所を運営していくにあたっては、「個として/地域として 何を求めるか」を諸先輩方に教えてもらわなきゃいけませんので。マストです、はい。
兎にも角にも人が集まれるようにしばらくはDIY作業に専念せねば。夏には県外からの方などもお招きするプロジェクトを計画中ですし、作業期間中も要所要所でなにかしらの関わりしろは作りたいと思いますので、インスタなどでチェックしてみてください!
というわけで、NAKANO DROP をよろしくお願いいたします。
余談:名前の意味
DROP
この拠点を発信基地としてつくられる物事が水面に落ちる雫(DROP)が生み出す波紋のようにエリアからエリアへと繋がって拡がってくれたらいいなという願いを込めて。
NAKANO
これは実は、あいうえお作文的な感じで意味を込めてまして。地域おこし協力隊に応募するときの活動方針みたいなとこで考えたんですけど、使う機会なかったので。中の人的な感じで関わせてもらっているNAKANO地元LAB.のスローガンで先に使っちゃったけど、チーム感あっていいじゃんと思ってます。