概要
主催
長野県:信州暮らし推進課
県内地域の活性化に寄与する「つながり人口(関係人口)」の創出拡大目的の取り組み。
コーディネーター(受託事業者)は、一般社団法人 〇(まる)と編集社。
日程
座学編
1. ストラテジー>スキル
DIYイベントにおいて重視すべきはスキルではなく、イベント化する「意味」を考えること。準備→実行→完成後 すべてのフェーズで、なんのためにやるのか・どうすれば実現可能かなど常に「計画性」をもって臨むことが一番大切です。
従って、イベントのやり方は地域ごとに違って然るべき。というのがこの講座の考え方。「自分たちの暮らし/街は自分たちでつくる」という意識が一体感を生み、仲間が増える。やり方によっては関係人口の関わりしろになったりするかもしれませんよね。
そして作ったものが形になって残り、使い続けていく。これが単なる座学系のワークショップとは大きく異なる点で、ハードをいじるDIYならではの醍醐味だと教わりました。
2. イベント化する理由
では、なぜイベント化することに意味があるのか。
これはDIY期間から既に地域へのソフトランディング(緩やかな定着)を始められるから。改修規模や施工経験による差はあれど、基本的にDIYでの工事は得手して時間がかかるもの。であればプロセス自体をイベントコンテンツとしてシェアしてしまおうってことです。
特に、移住者の人がなにか新しいことを始める場合、彼らは各々の世界観を持っていて、それを実現させるハコとして空き家を使うことがあります。なんの前情報もなくいきなり始めてしまうと、地元民の方との摩擦が生じてしまうことがよくあるんだとか。人は未知のものに不安を覚えますから自分の生活エリアともなれば尚更、無理もないでしょう。
そこで、イベントというスタイルが意味を持つんですね。どうせ時間をかけて作業をするのだから、最初からオープンな状態にしておけば相互理解を深めることができるというわけです。さらに、事業を始める人は地域に認知された状態でスタートが可能です。
たしかに理にかなっているなと思いました。
3. ひとリノベーション
これはこの講座で初めて聞いた言葉ですが、DIYが人を変えるというお話です。
つまり、小さな成功体験を積み重ねることで達成感が生まれ、何でもとりあえず「やってみよう」というマインドになりやすいんですね。これは私自身も変化を実感したことがあります。DIYをやったことがない人ほど顕著かもしれません。
もちろん、全ての人にあてはまるものではないと思います。ただ、移住者を受け入れる側の地域としてもやはり能動的な人材のほうが望ましいということです。そのほうが地域の持続性にも繋がりますからね。入口のフェーズではその辺りも含めてヒアリング・フィルタリングをしているそうです。
4. 造るだけがDIYではない
辰野町のDIYイベントでは片付けの段階から参加者を募っているそうです。
空き家の場合、けっこう厄介なのが残地物の処理。ここからイベント化しちゃうのはさすが。先進的ですね。ひたすらモノを外に運び出すだけではなく、『トレジャーハントツアー』と題して、フリーマーケット的な感じで、来た人が欲しいものを見つけたら所有者さんの言い値で売ってもらい、トータルの売上金をゴミ処理などの経費に充てているそうです。
また、解体する部分があれば、そこも参加者を募ってイベントとしてやってしまうそうです。引き算的アプローチの段階からDIYイベントの一環として大人数で作業を行うことで空き家所有者・利活用者の助けにもなっているんですね。
5. ローカル流の宣伝手段
せっかくイベントとしてやるならたくさんの人に来て欲しいですから、
それぞれの地域にあったやり方で周知していきましょう。
私がなるほどと思ったのは、回覧板を使うという手法。
公民館の掲示板は試したことがありましたが、回覧板のほうがより目にする機会が多そうですよね。新聞やテレビなどの地方メディアも有効な手段ですが、まずは地区単位のミクロ的アプローチで、宣伝してみるのもアリかもしれません。
6. 地域リソースの活用
これは一番今回の講座の中で、中野市でもやりたいなと思ったものです。
以前からなんとなく考えてはいたので、実際にやられていると聞きさらに興味が湧きました。
4. にて前述したように、空き家の片付けや解体は、利活用考えるにあたってまず初めに取りかかからなければいけないこと。手間がかかるのでイベント化して人海戦術的な処理はできるかもしれませんが、せっかくなら古材や廃材、家具や什器などは地域のリソースとして循環させていきたいです。そのままでは使えないかもしれませんがアップサイクル的な活用をすれば生まれ変わるかもしれませんし、ウッドショックで木材価格が高騰している昨今、廃材であっても大きめの木材などはけっこう貴重だったりします。
DIYカルチャー自体を促進する意味でも、空き家から回収した材料を再び使えるようにする場所として「古材バンク」的なものを立ち上げたいなと思いました。
まとめ
私自身も空き家だったお家をお借りして住んでいます。1階部分を空き家相談所兼コミュニティスペースにするにあたって、砂壁を珪藻土に塗り替えて、畳をフローリンに張り替えました。地域の職人さんと設計士さんにご指導いただき、建築科に通う高校生さんたちと小規模ではありますがDIYイベント的な感じで改修を行いました。
なので、今回の講座を通して改めて、イベントのノウハウだったり、意図すべきポイントやそこから生まれる副次的な発想などについてわかりすく解説頂き、今までなんとなく考えていたことが言語化されてスッキリしました。新しい気づきや学びも得られましたが、個人的には空き家対策の地域おこし協力隊として活動していくうえでの現在位置を確認できたような気がして自信にも繋がりました。
また、講座の中でも何度か言及されていましたが、DIYイベントには、空き家流通のため所有者へ向けたアピールも含まれているんです。空き家活用の具体例が増えれば、所有者さんも放置せずに誰かに相談してみようと思ってくれるかもしれませんよね。空き家所有者もしくは空き家予備軍層に対して、活用の可能性を実際に提示することが、空き家流通に繋がる啓蒙的な取組みになっていることもDIYイベントの大事な要素のひとつです。
レポート②ではフィールドワークの内容をご紹介します!